私はオーボエで演奏活動や指導を行っており、自分の分はもちろんのこと、たまにレッスンの生徒さんのためにもリードを作ることがあります。
その中でよく訊かれる質問がこれです。
オーボエのリードって、自分で作れますか?
作れないことはないのですが…
私はこの質問をされたときに、いつもこう答えます。
「作れないことはないけれど、使えるリードを作れるようになるまでにかなりの練習が必要なので、その時間があったらオーボエの練習をした方が良いです。」
この記事ではオーボエのリードを作るために必要なことを、詳しく解説していきます。
オーボエのリードを自分で作れるようになるまでにかかった時間
私は音楽大学に通っているときにリードを作る練習を始めました。
おぼろげな記憶ですが、夏から練習を始め、使えるようなリードが出来始めたのは冬ごろだったかと思います。
つまり、まともなリードを作れるようになるまでに4〜5ヶ月かかったということになります。
あれ?そんなもん?と思いましたか?
当時は音大生だったので、多くの時間を練習に費やすことができたのです。その上、いつでも質問したり完成品を見てもらえる先生や先輩が近くにいる、素晴らしい環境でした。
恵まれた環境下で毎日せっせと練習して、4〜5ヶ月。これはなかなか根気が要ります。しかも、やっと何とか使えるかな?くらいのレベルのリードです。満足のいくリードが作れるまでにはまだまだ、まだまだ修行が必要になります。
リードを1本作るのにかかる時間と費用
では、1本作るのにどれくらい時間がかかるでしょうか。
リードには既に加工された材を使用する方法もあるため、どの段階から作成するかにもよりますが、今回は自作する場合とりかかりやすい、カマボコ型ケーンという段階から作成した場合でお話しします。
リードを作る際は何本もまとめて作るため、正確に1本あたりどれくらいの時間がかかっているかは分かりかねますが、おおよそ1時間くらいかと思います。
また、リード1本あたりにかかる費用は、同じくカマボコ型ケーンの段階から作成すると、
【材】200~400円 + 【チューブ】500~700円 =700~1100円
となります。市販のリードを購入するよりは、半額以下の値段で作成できますね。
チューブの部分は再利用できるので、以前完成リードを購入した際のチューブを使えば、かかる費用は材の値段だけということになります。
ただ、作成したリードは全て使い物になるわけではありません。
かかる費用と時間、作れるようになるまでの練習期間を踏まえると、中高生の部活動や、仕事の傍ら趣味でオーボエを吹いている方は、市販の完成リードを購入した方が良いというわけです。
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リードを作るために必要な道具
リードを製作するためには、いくつかの専門の道具をそろえる必要があります。
①リードナイフ
リードを削る道具です。
②プラーク
リードをナイフで削る際、リードの中に差し込む道具です。
③シェイピング
カマボコ型ケーンを舟形ケーンに加工する道具です。舟形ケーンを購入し製作する場合は不要です。
このシェーパーティップと、シェーパーハンドル(2万円程度)が必要です。
④マンドレル
チューブに挿して穴を調整したり、糸巻の際に使用します。
⑤リードカッター
リードの上部をカットする道具です。(通称つめ切り(笑))
⑥糸
ケーンとチューブを固定します。
⑦ワイヤー
リードの開きを調整、補助するために使用します。
⑧フィッシュスキン
リードの側部から息が漏れるのを防いでくれます。水道管テープが使用されることも多くありますが、振動を妨げる恐れがあるため、私はフィッシュスキンを使用しています。
他にもあると便利な道具はありますが、とりあえず最低限これだけあれば製作することができます。
道具を揃えるためにかかる費用は、ここに挙げたもので合計65000円ほどです。気軽に手が出せる金額ではないですね…
オーボエ奏者は楽器の練習よりもリードを作っている時間の方が長い
リードを自作するようになると、リード製作に多くの時間を割くようになります。そのため、オーボエ奏者は楽器の練習よりもリードを作っている時間の方が長いとよく言われます。
そのくらい、オーボエ奏者にとってはリードが大事な要素であり、誰もが悩み苦労していることなのです。
時間が限られている方は、やはりリード作りはプロに任せた方が良いでしょう。
せっかく作っても良いものが出来るとは限らない
前述のとおり、リードをせっかく作っても使い物になるかどうかは分かりません。
リードの材自体の良し悪しにも大きく左右されるので、時期によっては全く良いリードができない!ということもあります。
ここに製作の腕の要素も加わると、上手くいく確率はもっと低くなると思った方が良いと思います。
簡単な調整は出来ると便利!
リードを1から作るのは大変ですが、簡単な調整だけでも出来ると、リードを長く良い状態で使うことができます。
この場合はリードナイフとプラークだけあればできます。
プラークをリードに挿し、「背骨」と呼ばれるリードの中心部に触れないよう、少しずつ削りましょう。
もう使わなくなったリードで練習すると良いと思います。
詳細は別の記事で書きますので、よろしければご覧ください。
まとめ
オーボエを演奏する人は皆リードに苦労しますよね。
高いリードを購入するのはなかなか大変ですが、自作するのはもっと大変です。
これから先の人生でずっとオーボエを吹き続けるのなら、リード作りにチャレンジしてみても良いかもしれません。
分からない、知りたいことがあれば、contactよりいつでもご連絡ください。
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