GIGAスクール構想やコロナ禍の影響で、オンライン授業を行うこともぐっと増えたのではないでしょうか。
特に音楽の授業においては、オンラインで音源や映像資料を流すことは必須ですよね。
そこで気になるのが著作権の問題。
学校の授業では一定の範囲で自由に著作物を使用できることが定められていますが、実はCDやDVDを使用する際は注意が必要なのです!
どんなことに注意すべきか、申請する必要があるのはどんなときか?申請の手順は?など、詳しく解説していきます!
学校の授業で著作物を自由に使用できる範囲
著作権は著作権法という法律によって守られており、著作者の許諾なく使用することはできません。
しかし、学校等の非営利の教育機関においては、一定の範囲で無許諾で利用できることが定められています。
詳しくはこちらの記事で書いてますので、併せてご覧ください。
▼学校での著作権の基本と事例 知らないうちに違反してるかも?
- 授業で必要な範囲で楽譜をコピーする
- 流行りの曲を使い運動会でダンス!
- 文化祭でコピーバンド演奏
学校でよく見られるこういった行為はOKとなっています。
しかし、オンラインで配信する場合、OKとなっているのは遠隔合同授業(配信側にも生徒・児童がいて同時中継する形で配信する授業)のみでした。そこで創設されたのが授業目的公衆送信保証金制度(略称:SARTRAS〈サートラス〉)です。
まずはSARTRASへの届け出の確認を
授業目的公衆送信保証金制度(SARTRAS)とは、ICTを活用した授業を円滑に行うことを目的とし、2018年5月に創設されました。一定の保証金を支払うことにより、遠隔合同授業以外での公衆送信も可能となります。
授業目的公衆送信補償金制度は、2018年5月の法改正で創設された制度です。従来の著作権法では、学校等の教育機関における授業の過程で必要かつ適切な範囲で著作物等のコピー(複製)や遠隔合同授業における送信(公衆送信)を著作権者等の許諾を得ることなく、無償で行うことができました(いずれの場合も著作権者の利益を不当に害する利用は対象外です)。
2018年の法改正で、ICTを活用した教育での著作物利用の円滑化を図るため、これまで認められていた遠隔合同授業以外での公衆送信についても補償金を支払うことで無許諾で行うことが可能となりました。
https://sartras.or.jp/seido/
具体的には、以下のようなことが可能となります。
SARTRASへの届け出は、教育機関の設置者が行います。公立学校の場合は教育委員会、私学の場合は法人です。
ご所属の学校が届け出を行っているかどうか、各設置者に確認をとりましょう。
自由に使用できるCDと許諾が必要なCD
ただ、SARTRASに登録すれば何でも使って良いということではありません。特に、鑑賞用CDをし与する際には注意が必要です。
CDに含まれる音源には著作権のみではなく、「著作隣接権(原盤権)」という権利があります。
音楽の授業で使用するCDの中には、一般の市場に流通しているものが多くありますよね。鑑賞用のCDに含まれるものの多くは、著作隣接権の許諾を得て収録されています。
一般品の売り上げに影響を与える恐れがあることから、CDを制作するレコード会社に確認をとる必要があります。
教育芸術社の「指導用CD」「合唱練習用CD」については、原盤権を教育芸術社が保有しており、SARTRASの登録で使用可能としています。「鑑賞用CD」を使用する際はユニバーサルミュージック社へ連絡をするようHPに記載してあります。
どのように許諾をとる?
まずは、CD・DVDの発行者に確認をとりましょう。ここでは、使用機会が多いであろう、教育芸術社を例に解説します。
指導用CD | SARTRASの手続きのみでOK! |
授業支援DVD | SARTRASの手続きのみでOK! |
鑑賞用CD | SARTRASの手続きの他に、ユニバーサルミュージックへ届け出書を提出。 |
教科書準拠DVD | SARTRASの手続きの他に、ビクターエンタテインメントへの届け出が必要。サーバーへのアップロードは不可。 |
鑑賞用CD・教科書準拠DVDについては、いずれも「学校の休業期間中においては」という前置きがついてますので、通常時のオンライン授業については別途お問い合わせください。
それぞれの届け出書については、教育芸術社ホームページよりダウンロード可能です。
まとめ
著作権は権利の束と言われるだけあって、なかなか複雑ですよね。
特に音楽科においては、使用機会が多いだけに大変な部分もあるかと思います。
CDや曲によっても扱いが変わる場合がありますので、心配になったらそれぞれの発行者に問い合わせしてみると安心です。
上手に付き合って、よりよりオンライン授業ができますように!
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