著作権には保護期間があり、著作者の死後70年経過すると原則著作権は消滅します。
しかし、死後70年経過したからといって、何でも自由に使えるかというと、そうではないケースもあります。
ここでは、よくある事例を用いて、著作権保護期間終了後の作品を使用する際の注意点を解説していきます。
また、ここでは主に「音楽」に焦点を当ててお話しするので、文学や映画などについては文化庁ホームページをご覧ください。
この記事で分かること
- 著作権保護期間は著作者の死後70年
- 保護期間が過ぎたらできること
- 保護期間が過ぎても、「著作隣接権」に注意が必要!
著作権保護期間とは
著作権には一定の存続期間が定められており、この期間を「保護期間」と言います。
著作権によって著作者の権利を守る一方、一定期間が経過したものに関しては、文化の発展のために共有して使えるように定められたものです。
以前は著作者の死後50年とされていましたが、2018年のTPP整備法による法改正により、著作者の死後70年までと変更になりました。
保護期間が過ぎた作品は何ができる?
著作権保護期間が過ぎた作品は、許諾を取る必要がなく自由に利用することができます。
・編曲
・入場料の発生するコンサートでの演奏
・楽譜をHP上で無料公開
・演奏した動画の配信
保護期間内では許諾が必要なこれらの行為が、何の手続きもなく自由に行うことができるのです。
期限切れの作品を用いるときの注意点
しかし、たとえ死後70年経過している作曲家の作品を用いる際も、気を付けなければならない点があります。
それは、著作隣接権の存在です。
著作隣接権とは、著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者に与えられる権利のことで、
- 実演家
- レコード製作者
- 放送事業者
などに与えられる権利で、実演・レコード制作から70年、放送から50年が保護期間となります。
著作物自体が保護期間が過ぎていても、著作隣接権の保護期間に当たる場合は、利用に許諾が必要です。
・自演ではない他者の演奏を用いて配信する
・CDをオンライン授業で生徒に聞かせる
このような場合は、演奏者やレコード会社へ許諾をとりましょう。
また、楽曲が編曲されている楽譜は、出版社が著作権を所有している場合もあります。
JASRACのHPから調べられるので、疑わしいものは調べてから利用しましょう。
まとめ
音楽と著作権は切っても切り外せない関係にあります。
時に煩わしく感じることもありますが、著作者が守られることによって文化が発展していくとも言えます。
正しく理解し、上手に活用していきたいですね。
著作権については他の記事でも書いてますので、併せてご覧ください。
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